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第38回PFF公式サイト神戸。北野を明治20年より見守り続けた建築文化財スタデニック邸がフォトスタジオとして新たに8/26グランドオープンミサワホームインシアタープロモーションのプロ/株式会社シネブリッジ

現代日本の揺れ動く家族像を冷徹かつユーモラスに描き、恐るべき新人監督の登場に各国の映画祭が湧いた『歓待』(2011)。二階堂ふみ演じるヒロインの一夏の経験を瑞々しく綴り、ナント三大陸映画祭グランプリ他を受賞した『ほとりの朔子』(2014)。荒廃した近未来を舞台に、人間とアンドロイドの対話を通して生と死を見つめた『さようなら』(2015)。一作ごとに人間ドラマの新たな地平を切り拓き、30代の若さで世界の映画シーンにその名を刻み続ける深田晃司の最新作が、カンヌ国際映画祭に初参加でいきなり公式部門にノミネートされ、受賞を果たす快挙を成し遂げた!黒沢清、是枝裕和などカンヌ常連組に仲間入りし、河瀬直美監督『萌の朱雀』(97)が脚光を浴びて以来、久々に登場した日本の新たな才能に、世界中が熱烈な期待を寄せている。

怪しくも魅力的な佇まいで家族を翻弄する男を演じるのは、『私の男』『岸辺の旅』やマーティン・スコセッシ監督『沈黙』などに出演し、国際的に活躍する浅野忠信。夫婦役には、古舘寛治が寡黙さの内に覚悟を秘めた夫役で新境地を見せ、筒井真理子が妻の心身の変化を凄まじいまでの説得力で体現する。その他、太賀、三浦貴大などの若手実力派が主人公たちの関係性を左右する重要な役で登場する。
「孤独な肉体を抱えた個々の人間が、たまたま出会い、夫婦となり親となり子となって、当たり前のような顔をして共同生活を営んでいる。私にとって、家族とは不条理です」
そう語る深田晃司が、最高のキャスト・スタッフと組み、大胆にして緻密なストーリーテリングで観客一人ひとりの想像力と価値観に揺さぶりをかける衝撃のドラマ。観る人すべてをタイトル通りの境地へと誘う映画が誕生した。

郊外で小さな金属加工工場を営む鈴岡家は、夫・利雄(古舘寛治)、妻・章江(筒井真理子)、10歳の娘・蛍(篠川桃音)の三人家族。平穏な毎日を送るごく平凡な家族の前にある日、利雄の旧い知人で、最近まで服役していた八坂草太郎(浅野忠信)が現れる。利雄は章江に断りなくその場で八坂を雇い入れ、自宅の空き部屋を提供する。章江は突然の出来事に戸惑うが、礼儀正しく、蛍のオルガンの練習にも喜んで付き合う八坂に好意を抱くようになる。だが、ある時、八坂は一家に残酷な爪痕を残して姿を消す。

8年後。八坂の行方は知れず、利雄は興信所に調べさせているが、一向に手がかりはつかめない。工場では古株の従業員・設楽篤(三浦貴大)が辞めることになり、代わりに山上孝司(太賀)が新人として入ってくる。母を亡くして独り身の孝司は屈託のない人柄でたちまち夫婦の信頼を得る。だが皮肉な巡り合わせにより、八坂の消息をつかめそうになった時、利雄と章江は再び己の心の闇と対峙することになる―。

1973年11月27日生まれ、神奈川県出身。1990年、『バタアシ金魚』(松岡錠司監督)で映画デビュー。海外にも活躍の場を広げ、『孔雀』(99/クリストファー・ドイル監督)、『地球で最後のふたり』(03/ペンエーグ・ラッタナルアーン監督)、『モンゴル』(07/セルゲイ・ボドロフ監督)などで主演をつとめ国際派俳優の地位を確立。2011年には『マイティ・ソー』(ケネス・ブラナー監督)でハリウッドデビューを果たし、『バトルシップ』(12/ピーター・バーグ監督)、『47RONIN』(13/カール・リンシュ監督)など立て続けにハリウッド映画にも出演。2014年は『私の男』(熊切和嘉監督)で第36回モスクワ国際映画祭最優秀男優賞を受賞、2015年は第68回カンヌ国際映画祭ある視点部門監督賞を受賞した『岸辺の旅』(黒沢清監督)に出演。公開待機作に、2016年アメリカ公開予定の『沈黙~Silence~』(マーティン・スコセッシ監督)、『幼な子われらに生まれ』(17年公開/三島有紀子監督)などがある。

山梨県甲府市出身。早稲田大学在学中より鴻上尚史主催の「第三舞台」で看板役者の一人として活動。1994年に映画『男ともだち』(山口巧監督)で主演デビュー。以後、舞台をはじめ映画・テレビ・CMと幅広く活躍。主な映画出演作に『クワイエットルームにようこそ』(07/松尾スズキ監督)、『アキレスと亀』(08/北野武監督)、『ヒーローショー』(10/井筒和幸監督)、『希望の国』(12/園子温監督)、『クロユリ団地』(13/中田秀夫監督)、第39回モントリオール世界映画祭正式出品『かぐらめ』(15/奥秋泰男監督)、『Love of Love』主演(16/園子温監督)など。2014年NHK連続テレビ小説「花子とアン」で嘉納家の女中頭・山元タミ役を好演。今後も出演する数々の公開作品を控え、変幻自在な演技が注目を集めている。2016年には松本明子とともに漫才コンビ「つつまつ」を結成、初舞台を踏むなど様々な顔をみせている。

名バイプレーヤーとして数多くの映画やドラマに出演。平田オリザ主宰の劇団青年団と松井周主宰の劇団サンプルに所属、舞台をベースにTVドラマや映画にも出演。深田晃司監督作には『東京人間喜劇』(08)、『歓待』(11)、『ほとりの朔子』(13)に出演。近年の代表作は舞台「ヒッキー・ソトニデテミターノ」(12/岩井秀人演出)、「地下室」(14/松井周演出)、「蒲団と達磨」(15/松井周演出)、映画『マイ・バック・ページ』(11/山下敦弘監督)、『キツツキと雨』(11/沖田修一監督)、『夢売るふたり』(12/西川美和監督)、『シャニダールの花』(13/石井岳龍監督)、『マエストロ!』(15/小林聖太郎監督)、『トイレのピエタ』(15/松永大司監督)など。2016年は『セーラー服と機関銃-卒業-』(前田弘二監督)、『下衆の愛』(内田英治監督)、『太陽』(入江悠監督)、『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(宮藤官九郎監督)などに出演。秋には、マキノノゾミ作の舞台「高き彼物」で初演出に挑む。

1993年2月7日生まれ、東京都出身。2006年に俳優デビュー。深田晃司監督作には『ほとりの朔子』(14)に出演。主な出演映画に、『桐島、部活やめるってよ』(12/吉田大八監督)、『私の男』(14/熊切和嘉監督)、『アゲイン28年目の甲子園』(15/大森寿美男監督)、『あん』(15/河瀨直美監督)など。2016年は、日テレ「ゆとりですがなにか」で演じた強烈なキャラクターが話題に。映画は、『マンガ肉と僕 Kyoto Elegy』(杉野希妃監督)、主演作『走れ、絶望に追いつかれない速さで』(中川龍太郎監督)などが公開された。

2006年5月16日生まれ。2009年、3歳で子役デビューし、多数のTVドラマ、映画、CMに出演している。主な出演作に、映画『星ガ丘ワンダーランド』(15/柳沢翔監督)、TVドラマ・映画『MOZU』(14~15/羽住英一郎監督)、『ニシノユキヒコの恋と冒険』(14/井口奈己監督)、映画『リトル・フォレスト』シリーズ(14、15/森淳一監督)など。公開待機作に、『バースデーカード』(吉田康弘監督)、『カノン』(雑賀俊朗監督)がある。

1985年11月10日生まれ、東京都出身。2010年、映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』(錦織良成監督)でデビュー。近年の出演作に、『キッズ・リターン 再会の時』(13/清水浩監督)、『永遠の0』(13/山崎貴監督)、『サムライフ』(15/森谷雄監督)、『進撃の巨人』(15/樋口真嗣監督)、『ローリング』(15/冨永昌敬監督)、『マンガ肉と僕』(16/杉野希妃監督)など。公開待機作に、『怒り』(李相日監督)、『CUTIEHONEY~TEARS~』(A.T&ヒグチリョウ監督)などがある。

1999年1月5日生まれ、福岡県出身。2015年に、シンガーソングライター瀧川ありさの2ndシングル「夏の花」のミュージックビデオに出演し、デビュー。その後、USJや九州電力のTVCMにも出演。映画初出演となる本作では、難役に挑戦し圧倒的な演技力を披露している。

1980年1月5日生まれ、東京都出身。大学在学中の99年に映画美学校フィクションコース入学。長・短編3本を自主制作した後、2005年に平田オリザが主宰する劇団「青年団」に演出部として入団。06年、バルザック「人間喜劇」の中の一編をテンペラ画のアニメーションで表現した中編『ざくろ屋敷』を発表し、パリ第3回KINOTAYO映画祭ソレイユドール新人賞を受賞。08年、再びバルザックから着想を得た長編『東京人間喜劇』を発表、ローマ国際映画祭、パリシネマ国際映画祭他に選出される。10年、本作『淵に立つ』の構想から派生した『歓待』(11年公開)が東京国際映画祭日本映画「ある視点」作品賞、プチョン国際映画祭最優秀アジア映画賞を受賞。13年、二階堂ふみ演じる18歳のヒロインの一夏の体験を描いた『ほとりの朔子』(14年公開)でナント三大陸映画祭グランプリ&若い審査員賞をダブル受賞。15年、放射性物質に汚染された近未来の日本を舞台に難民の外国人女性とアンドロイドの交流を描いた平田オリザ原作の『さようなら』(15年公開)が東京国際映画祭メインコンペティション選出。16年、マドリード国際映画祭にてディアス・デ・シネ最優秀作品賞を受賞。10月5日にDVD発売開始。本作『淵に立つ』で長編5作目となる。現在、全編インドネシアロケによる青春映画の準備中。

この作品の中心には家族のテーマが置かれています。このアイデアはどこから来ましたか?

私にとって、家族とは不条理です。孤独な肉体を抱えた個々の人間が、たまたま出会い、夫婦となり親となり子となって、当たり前のような顔をして共同生活を営んでいる。しかし、一歩引いて見てみるとそれはとても不思議なことです。なぜ私たちは共に生きるのでしょうか。多種多様な民族がそれぞれの国家を作り、それぞれの神様を信仰し、企業間でしのぎを削り、地元のサッカーチームの勝ち負けで喧嘩をする。理解のできない他者と向き合い続けなくてはならない社会性をもったホモ・サピエンスの習性の、最小単位のサンプルが家族だと考えています。
孤独な人間たちが、それでも生きていかなくてはいけない不思議を、家族という不条理なつながりを通じて描きたいと思いました。

『淵に立つ』のタイトルに込めた想いは?

劇作家の平田オリザさんの言葉で、私自身も演出部に所属している青年団の新人研修で直接、平田さんから聞いていて印象に残っているのですが、人間を描くということは、崖の淵に立って暗闇を覗き込むような行為だと。闇に目をこらすためには少しでも崖の際に立たないといけないけど、しかし自分自身が闇のなかに落ちてしまっては元も子もない。表現とは、ヒトの心の闇にできるだけ近づきながら、しかしギリギリのところで作家自身が踏みとどまる理性を持ちえたときに、初めて成立するものだと思います。
この映画もまた、観客とともに崖の淵に立ち、人間の心の奥底の暗闇をじっと凝視するような作品になって欲しいと願い、『淵に立つ』というオリジナルタイトルになりました。作品を作るときは明るい作品にするか、暗い作品にするかはあまり考えませんが、今回の作品は過去の作品と比べ、一歩崖の際に足を踏み出したのだと思います。
一方、英語タイトルのHarmoniumはオルガンを指しています。日本語の『淵に立つ』のニュアンスは英語に訳しづらく、ワールドセールスの担当者に他のタイトル案をいくつか出してもらい、そのなかからHarmoniumを選びました。ハーモニー(調和)を連想させる言葉でもあり、不調和を描くこの映画にふさわしいと思い気に入っています。

出演者とはどのようなやり取りを重ねましたか?

基本的には役者はそれぞれが独立した表現者であると考えているので、まずは役者から出てくるものをできるだけ多く映画に残したいと考えています。それが、映画世界を豊かにすると信じています。
役者にはいつも、カメラの前での役者同士のコミュニケーションを大事にしてほしいと伝えます。今回は、これまでの監督作品に比べると役者と脚本について話す時間が多少はありましたが、それぞれのキャラクターについて具体的な言葉で説明することは避けました。
浅野忠信さんは、ものすごくやわらかい優しい笑顔を見せるかと思えば、一転ものすごく凄みのある顔にもなる、その多面性のある表情が八坂の役にぴったりだと思ってオファーさせて頂きました。本作の八坂の妙に潔癖なキャラクターには、浅野さん自身の様々なアイデアが生かされています。たとえば寝るときまで同じワイシャツを着ている設定もその一つです。
利雄役の古舘寛治さんとは、2008年の『東京人間喜劇』以来、『歓待』、『ほとりの朔子』と継続的に仕事をしていて、プライベートにおいても映画や演技について議論し合う友人です。これまでは本作の八坂のような攻めの役が多く、利雄のような受けの役をお願いするのは初めてでしたが、だからこそ利雄役は古舘さんにお願いしたいというのは企画当初からの願いでした。現場で彼の演技を見ていると、ただ相手の演技を受けるだけではなく、静かに細かく反応しているんですね。攻めの演技も受けの演技も本質的には同じであることを、彼の演技は教えてくれます。
筒井真理子さんは、本当に緻密に芝居を組み立てていく方でした。物語前半の撮影と後半の撮影の合間の3週間で、章江の見た目をがらりと変えてきてくださいました。年月の経過が一目でわかるその説得力ある変わりぶりには、フランスのポスプロのスタッフも驚いていて、当初中盤に入れていた「8年後」のテロップを外す結果となりました。プロの俳優の凄みを感じましたね。

カンヌ国際映画祭での上映時、この映画における家族の描かれ方について
各国のジャーナリストから質問を受けたそうですね。

これまでカンヌで上映されてきた日本映画は温和な家族観がベースになっているものが多いのに対し、『淵に立つ』はそうではないので新鮮に受け取られたようです。また、ヨーロッパでは家族よりも夫婦やカップルを題材にした映画が多いのに比べて、日本は家族の映画が多いのはなぜかと聞かれました。残念ながら日本には伝統的父権的な家族制度が色濃く残っていて、与党もそれを推進している現実があります。多くのカップルは子どもが生まれた時から、外で働く父、家庭を守る母の役割を演ずるようになる。日本に生きる人間を描こうとすると、家族との関係性がより強く浮き出てくるのはそのような社会背景が理由だと思うと答えました。

カンヌの「ある視点」部門審査員賞受賞スピーチでは、今後、日本とフランスの映画の結びつきが
より強くなることを期待すると話されましたが、その意図は?

思っていたよりもスピーチの時間が短くて端折ってしまったのですが、フランスや韓国に比べて、日本では監督が海外を目指すための制度、つまりはより自由に映画を作るための制度がまだ不十分で未熟である現状を訴えたいと思いました。端的に言えば、韓国とフランスには合作協定があるのに対し、日本とフランスはそれを結べていません。
カンヌにセレクションされたときから、もしも受賞したら、自分が最も注目されるタイミングでそれを言おうと考えていました。2006年、セザール賞の受賞スピーチでパスカル・フェラン監督はフランス映画界への批判的な認識をぶち上げました。それは作られる映画が膨大な予算をかけた大作映画と、低予算映画の両極端に偏っていて、その中間の作家性の強い映画が少なくなっていることへの危惧でした。それに倣ったというわけではないのですが、発言できる立場にある人間がきちんと発言する社会意識の高さに感動しました。現在の日本映画界の惨状は、そういった意識の不足も一因であることは間違いないと思います。

1999年2月25日、ロサンゼルス生まれ。現在17歳。12歳の時、学校のミュージカルの主役に抜擢され、数ヶ月間の練習と本番を経て歌手への志を持つ。
13歳から楽曲制作を開始。ルーツ・ミュージックからオルタナティブ・ロックまで、膨大な幅の音楽を吸収し、即興性を含む柔軟で鋭敏な歌唱表現力や楽曲制作力は、関係スタッフに、次世代の真の女性アーティストの誕生を予感させる。その後、ライブやレコーディングで、ミュージシャン達とのコラボレーションを通して柔軟さを身につけ、楽曲によって英語と日本語のバランスを取りながら、「HARUHI」としてのスタイルを創りだし、新しいJ-ROCKの誕生をも確信させるに至る。
映画「世界から猫が消えたなら」の主題歌に「ひずみ」が決定し、2016年5月デビュー。「ひずみ」はiTunes J-POPアルバム初登場1位、レコチョク上半期新人ランキング2位を記録している。
本作『淵に立つ』の主題歌は、全編英語詞によるHARUHIの新曲「Lullaby」。映画の世界観をとらえたオリジナル楽曲として書き下ろしている。

オフィシャルサイト/www.haruhi99.jp

人が人と生きることにはこんなにも痛みが伴うのか。この作品を観てからずっと考え続けています。
この曲は、生まれくるすべての人を思う子守唄です。
すべての生命を包みこむ、そういうぬくもりを感じてもらえたら嬉しいです。

いざこの映画の主題歌をどうすべきかと考えたとき、それが大変な難題であることに気づきました。必要な言葉はもうすべて映画の中にあるよ、と生意気にも考えていたからです。それに余韻も壊したくない。だから、私はこんなお願いをしました。「絶望も希望も歌いあげないで下さい。この映画は崖の淵から下を見るように人の心の闇、生きることの闇をできるだけ理性的に覗き込もうと試みてます。音楽もまたその闇をじっと見つめそこから滲み出る畏れのようなものをHARUHIさんなりに書き留めたものであって欲しいです」と。率直に主題歌らしくない主題歌にして欲しいとも伝えました。
出てきた曲を聴いて、驚きました。期待を軽々と越えていました。この映画は本当の意味で、映画と歌い手がコラボレーションできた稀有な例だと自負しています。聴き終わったときには、私はすっかりHARUHIさんのファンになっていました。この映画が、彼女の伸びやかで繊細な歌声とともに多くの人の元に届き、ともに成長していくのを楽しみにしています。