郊外で小さな金属加工工場を営む鈴岡家は、夫・利雄(古舘寛治)、妻・章江(筒井真理子)、10歳の娘・蛍(篠川桃音)の三人家族。平穏な毎日を送るごく平凡な家族の前にある日、利雄の旧い知人で、最近まで服役していた八坂草太郎(浅野忠信)が現れる。利雄は章江に断りなくその場で八坂を雇い入れ、自宅の空き部屋を提供する。章江は突然の出来事に戸惑うが、礼儀正しく、蛍のオルガンの練習にも喜んで付き合う八坂に好意を抱くようになる。だが、ある時、八坂は一家に残酷な爪痕を残して姿を消す。
8年後。八坂の行方は知れず、利雄は興信所に調べさせているが、一向に手がかりはつかめない。工場では古株の従業員・設楽篤(三浦貴大)が辞めることになり、代わりに山上孝司(太賀)が新人として入ってくる。母を亡くして独り身の孝司は屈託のない人柄でたちまち夫婦の信頼を得る。だが皮肉な巡り合わせにより、八坂の消息をつかめそうになった時、利雄と章江は再び己の心の闇と対峙することになる―。